森永のイノベーションフォーカス:ヨーグルト新製品開発、ラクトフェリン免疫研究、eコマースの取組みが明らかに

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森永乳業株式会社は、今年度の主要な取組みの一環として、ヨーグルトの製品ラインナップを拡大し、機能性に優れた製品の投入、ラクトフェリンの研究とeコマースビジネスを加速する計画を明らかにした。

これは、森永乳業を含む世界中の企業に不確実性をもたらしたCOVID-19パンデミックを背景としている。

しかし、免疫や健康への関心が高まっていることは確かで、同社は変化する需要に応えるために研究を行い、機能性成分を消費者製品に組み込みたいと考えている。

森永乳業は、独自のプロバイオティクスやラクトフェリンなどの原料をはじめ、粉ミルク、牛乳、飲料、ヨーグルトなどの消費者製品を製造している。

同社は6月にヨーグルトへの取組みに於いて、鉄分不足を防ぐために4.6 mgの鉄分を配合した保存性の高い 「鉄ヨーグルト」を発売した。この製品は30歳代と40歳代の女性を対象としている。

IndexMundiによると、日本人女性の約21%が貧血を患っており、鉄欠乏症の数はさらに多くなっている。 鉄は酸素輸送とエネルギー代謝に重要である。

2014年の国民健康栄養調査は、女性の鉄のRDAは10.5 mg/日であるべきと報告したが、実際の摂取は6.6 mg/日のみであった。

同社は、消費者の変化する傾向に対応するため、ヨーグルト製品の幅を拡大し、より機能的な利点を提供したいと考えている。

昨年10月には、日本初の肌の保湿力を高めるヨーグルト、「アロエの力」を発売。今年4月には、国内初の便秘症状を改善する「ビヒダスヨーグルト 便通改善ヨーグルト」を発売した。

ラクトフェリン研究

ヨーグルト新製品開発に加え、ラクトフェリンの研究にも力を入れており、特に免疫における機能的なベネフィットに焦点を当てている。ラクトフェリンは、感染予防に役割を果たすと考えられている免疫系の成分である。

信州大学との共同研究で、ラクトフェリンを強化した粉ミルクが小児の急性胃腸障害や呼吸器障害を軽減することを報告した。

12カ月から32カ月の101人の小児を対象としたランダム化比較試験が行われた。

治療群には48 mgのラクトフェリンを含む処方を与え、プラセボ群にはデキストリンを含む処方を与えた。小児は13週間介入を受け、2週間のフォローアップを受けた。

本研究では、介入期間中の急性消化器症状 (下痢、嘔吐、疲労) がプラセボ群よりも治療群で有意に低いことが報告された (p<0.05) 。

咳、鼻汁および発熱のような急性呼吸器症状も、介入後は治療群で有意に少なかった (p<0.05) 。

研究者らは、この研究は、ラクトフェリンが子供の健康な発育に有益な効果をもたらす重要なエビデンスを提供したと述べている。

森永乳業のMitsunori Watanabeマネージャーによると、最近の免疫への関心の高まりを受けて、ラクトフェリンやビフィズス菌BB 536の研究を継続する。

2020年秋には、ビフィズス菌を含有するフォローアップミルク 「森永チルミル」 を発売する。

eコマース効果

同社は、世界的な感染拡大が起こる前の今年1月にeコマース部門を立ち上げ、社会のペースに合わせるため、eコマースへの取組みを加速させている。

ドラッグストアと連携してO 2 O*対策を実施するとともに、eコマースを通じて新商品の存在感を強化している。

*オンラインからオフラインへ

例えば、保存性に優れた「1日不足分の鉄分 のむヨーグルト」は先月eコマースで発売された。Watanabe氏によると、「冷蔵がいらないという事はeコマースでの販売に便利で適しています。」

地球から宇宙へ

森永乳業の取組みは、地球上に留まらない。最近では、宇宙航空研究開発機構 (JAXA) により、宇宙食として成人用粉ミルクが認可された。

「ミルク生活」 は2016年に発売された成人向け粉ミルクで、1.5年の厳しい貯蔵試験をクリアし、宇宙日本食として初めて認定された。

Watanabe氏によると、「森永ミルク生活(宇宙用)」には、ビタミンやミネラル、DHA、ラクトフェリン、ビフィズス菌BB 536など、地球上で売られているものと同じ成分が含まれている。

 

出典:Frontiers in Pediatrics

doi: 10.3389/fped.2020.00233

「12~32ヵ月齢の小児における急性胃腸症状に対するラクトフェリン強化処方の効果:無作為化二重盲検プラセボ対照試験」

著者:Noriko Motoki,等