薬理と治療誌に掲載されている本研究は、ケールパウダーが高血圧被験者において収縮期血圧 (SBP) を低下させるが、拡張期血圧 (DBP) を低下させないことを見出した。
ランダム化二重盲検試験には、 SBPが130から159 mmHgの間、 DBPレベルが85から99 mmHgの間にある20から64歳の92人が参加した。
被験者を治療群と対照群に均等に分け、治療群には、100から150 mLの水に溶解したケールパウダー14 gを12週間毎日与えた。
ケールパウダーは、健康食品とスキンケア製品のメーカー、キューサイから提供された。
被験者のSBPとDBPを評価前に記録、4、8、12週で、血圧値 (ΔBP) の変化を記録した。
8週目に両群間のΔSBPの有意差が報告された (p=0.04) 。SBPの変化は治療群で-9.7±8.9 mmHg、対照群で-3.8±7.9 mmHgであった。
12週では差は有意ではなかった (p=0.07)が、ΔSBPは治療群で-10.8±10.7 mmHg、対照群で-4.6±9.2 mmHgであった。
ΔDBPの結果は有意ではなかった。
日本では、約4300万人が高血圧とされ、心血管疾患および腎臓病の主な原因となっている。
キューサイは、高血圧の軽度のケースでは、推奨される治療法は、食事と運動に対するライフスタイルの改善だという。 重症例では、ライフスタイルの変更と投薬が推奨されている。
本研究では、ケール摂取は高血圧患者の血圧低下に推奨される方法であるが、さらなる研究が将来行われる可能性があると結んでいる。
オーストラリアでは、ケールの摂食が血圧低下に及ぼす影響についても研究が行われている。現在、参加者を募集中の研究は、アブラナ科の野菜(ブロッコリー、キャベツ、カリフラワー、ケール)や一般的に消費される野菜(ジャガイモ、ニンジン、カボチャ)などの異なる種類の野菜が、軽度の高血圧のヒトの血管および代謝機能に影響を及ぼすかどうかを調査する。
キューサイは、ケールフードシリーズ「青汁」を販売しており、このシリーズは、今年1月に「ザ・ケール」に名称が変更された。 日本では、ケールは通常、野菜の形ではなく青汁として消費される。
同社は、1982年に冷凍ケールから「青汁」製品の製造を開始した。
健康食品のほか、2009年から化粧品事業に参入。広報担当のYoshimi Fukunaga氏によると、2019年10月、ケールを原料とする新しいスキンケアブランド スキンケールドを発売した。
出典:薬理と治療
「血圧が高めの方に対するケール摂取の効果 –無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較研究-」