日本の機能性食品へのフラストレーション:業界は無効なエビデンスと広告問題を排除する必要がある-独占的知見
これは、昨年掲載した 「機能性表示食品 (FFC)の実態に関する詳細分析」 のフォローアップとして、ライフサイエンス分野に特化したコンサルティング会社である株式会社スムースリンクが編纂したレポートである。
消費者庁(CAA)は去る11月16日、2020年3月から9月までの間に新たに届出されたFFC製品の数が496件であることを明らかにし、2015年の制度開始以来の累計は3,447件となった。
日本ではFFC製品の需要と認知度が高まっているにもかかわらず、科学的根拠や広告の面で問題が発生している。
2020年5月にアフリカマンゴノキ由来のエラグ酸を含むFFC製品のエビデンスに関連性がないとして話題になった。
ブッシュマンゴーとも呼ばれるこの成分の臨床試験では、アフリカのカメルーンの被験者を対象に脂肪や中性脂肪を減らす効果が検討された。しかし、CAAは、この知見が日本人の集団に適用できるかどうかを疑問視した。
関連するFFC製品は、届出されたものが38件あったが、37件はその後、撤回されたか、販売されていないか、変更が保留された。
現在、販売されている1製品は、昨年、Functional Foods in Health and Disease誌に掲載された日本人を対象に行われたYoshiaki Shiojimiらの新しい研究エビデンスを用いている。
広告表現
また、FFC業界を悩ませているもう一つの問題は、実際に届出された健康強調表示に関する広告表現の誤りである。
一例として、葛の花事件がある。葛の花由来のイソフラボンを含むFFC製品について、虚偽の痩身効果を宣伝している製品が複数発見された。
その後、CAAはこれらの製品を製造している数社に罰金を課したがアフリカマンゴノキ由来エラグ酸事件とは異なり、一般消費者への誤認識をなくし、再発防止策を講じることで、製品の販売を継続することが認められた。
現在、葛の花には体脂肪を減らす、血圧を下げる、疲労を軽減し、皮膚に潤いを与える能力が臨床的に検証されている。
スムースリンク代表取締役 加藤 久明氏によると、今回の事件は "提出された機能性効果と広告表現の違い"が原因だったという。
製品には、腰に巻尺を巻いた細長い女性の画像や、両手で太ったお腹をつまんでいる画像が使われていたという。
「摂取するだけで、誰でも内臓脂肪や皮下脂肪を素早く減らし、腹部をスリムにする効果があると宣伝していた。」
CAAは、エラグ酸には体脂肪を減らす効果があるにもかかわらず、抜本的な減量の主張を裏付ける十分な証拠がなかったため、企業に罰金を課す必要があったと述べた。
共同対処
日本の健康食品産業は6,200社を超える企業で構成されているが、その多くは小規模な企業であり、研究開発やFFC製品の製造は原料メーカーやOEMメーカーに頼ることが多い。
加藤氏によると、健康食品の受託製造業者は国内に約400社あるというが、製造だけにとどまらず、商品企画、資材調達、マーケティング、販売などを行っているという。
スムースリンクのレポートは、今後同様の事例が出てこないように、販売者、製造者、受託製造者、CAAが連携して取り組む必要があるとしている。
CAAは7月に「ヘルスケア表示指導室」を設置し、業界団体に事前相談窓口の設置を依頼している。
依頼を受けた協会は、販売前に問題点を解決する指導室と調整しながら、企業の事前相談に応じる。「これにより、取締りを最大限に回避できる」とCAAはコメントしている。
FFCトレンド
2015年4月にスタートした日本のFFC市場は利益の上がる市場である。厳格化された特保のスキームとは異なり、企業は実際のヒト臨床試験を行わなくても、健康強調表示を持つ製品を販売することができる。
システマティックレビューと既存の科学文献は、認知、関節、皮膚、眼、体重管理から口腔衛生やそれ以上の範囲の健康強調表示に対する適切なエビデンスと捉えられている。
最近の496のFFC製品の中で、「中性脂肪を下げる」「血糖値を下げる」「体脂肪を減らす」が機能性訴求の上位3位であった。
FFCの製品には、生鮮食品だけでなく、栄養補助食品、菓子などの加工食品、飲料などがある。
富士経済は、生活習慣病予防商品の売上高は2020年には2018年比38.6%増の3,000億円に達すると予想している。
カテゴリーの中では、「FFC製品は飲料とサプリメントのセグメントで成長する 」とレポートは予想している。
伊藤園の既存の緑茶飲料は、ポリフェノールの含有量に起因する体脂肪低減効果で、江崎グリコのチョコレートは、GABA含有してストレス軽減と睡眠の質の向上、FANCLの発芽玄米は、難消化性デキストリンを配合して食後血糖値と中性脂肪の上昇を抑制するなど、日本の多くの栄養補助食品や飲料がFFC制度を利用して既存商品のリニューアルを行っている。
加藤氏はNutraIngredients-Asia誌に、「これらの製品にはすでにロイヤルカスタマー基盤があり、機能性を明確に示すことで新規顧客を獲得することが期待されている」と語った。
今回、調査対象のFFC製品で使用されている単一機能性成分のトップはGABAで、次いで難消化性デキストリン(食物繊維)となっている。
レポートには、いくつかの成分に新機能が追加されたことが記されている。
例えば、ラクトバチルス・サリバリウス株TI2711の歯茎の健康維持、キナ酸による女性の尿回数減少、ラクトバチルス・ラクティス株プラズマの免疫機能維持が届出されている。
キリングループは昨年11月、L.ラクティス株プラズマを配合する既存の機能性食品ブランド「iMUSE(イミューズ)」を、FFCシステムに基づいてリニューアルした。これらの商品は、日本で初めて免疫健康を訴求するFFC商品でもある。