インドで新型コロナウイルスの補助治療薬として、臨床的に検討されている日本のβグルカンサプリメント

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日本の βグルカンサプリメントが、インドの臨床試験で新型コロナウイルス (COVID-19)感染症患者の補助治療薬として研究されている。

サプリメント「ニチグルカン」は、日本の有限会社ジーエヌコーポレーションが製造・販売しているもので、一般的には健康や免疫力維持のために摂取されている。

「ニチグルカン」は黒酵母(アウレオバシジウム)由来。酵母や真菌、海藻などの細胞壁に存在する活性物質である β-D-グルカンが含まれている。

生体応答調節グルカン(BRMGs)として知られている β-D-グルカンの効果は、インシュリン感受性の改善、満腹感の増加及びコレステロール血清レベルの低下に関する動物及びヒトの研究において十分に裏付けされている。

βグルカンには多くの種類があるが、ニチグルカンの有効成分は β-1,3- 1,6 D-グルカンで、免疫力を高める効果が認められている。

インドでの臨床試験

ニチグルカンは現在、インドでの臨床試験で研究されている。試験は、インドのハイデラバードにあるYashoda病院で48人の成人COVID-19感染症患者(18歳以上65歳未満)を対象に行われている。共同研究者の1人は、Yashoda病院のSuryaprakash Vaddi博士。

本試験は日印合弁企業であるMedinippon Healthcare Pvt LtdおよびNichi-In Biosciences Pvt Ltdの資金提供を受けており、ニチグルカンはジーエヌコーポレーションより提供されている。

この無作為化二群臨床試験では、従来の治療法に加えて、ニチグルカン3g/日を30日間投与する治療群が対象となる。対照群は従来療法のみである。

治療群はニチグルカン(各0.5 g)二包を毎日三回、毎食後30分に経口投与した。

主要評価項目は、典型的な症状の改善、回復、再発にかかる時間、および末梢血からの免疫学的パラメータであった。

調査は2021年4月までに完了する予定。

「本剤は医薬品又はワクチンではないが、すべてが順調に推移した場合には、動物試験及び家禽試験において、H 5 N 1及びH 5 N 2感染症におけるアジュバントとしての有効性が報告されていることから、ワクチンアジュバントとして用いることができる」とジーエヌコーポレーションのR&D部門の責任者であるSamuel JK.Abraham博士はNutraIngredients-Asia誌に語った。

研究

ジーエヌコーポレーションが日本のニチグルカン利用者462人を対象に行った調査によると、65%以上が免疫力の向上、22%が便秘解消、15%が肌のハリ、11%が血圧の安定に効果があると回答している。その他の効果としては、安定した気分になる、血糖値の改善などが報告されている。

70%以上が疾病防や心身の健康維持のためにニチグルカンを服用し、その他は便秘解消や美容のために服用していた。

ニチグルカンは一包中にBRMGを42 mg (顆粒1 g中)含有する。無味無臭の顆粒は、そのまま、または液体(水・ジュース)に混ぜて摂取することができ、ゲル状のテクスチャーになる。

ジーエヌコーポレーションは他の研究機関と共同で、COVID-19患者の補助療法としてのニチグルカンの可能性について何報かの論文を発表している。

Frontiers in Immunologyに掲載された論文には、β1,3-1,6グルカンの摂取は、IL-8、sFASマクロファージ活性、NK細胞の細胞毒性などの重要な感染症に対する体の防御機構をサポートする可能性があると述べられている。

COVID-19患者では糖尿病などの併存疾患が死亡率を高めることが報告されているため、血糖値の管理が鍵となっていた。

Journal of Diabetes & Metabolic Disordersに発表された別の研究では、BRMGは、ヒト被験者の血糖値を制御することが証明され、また、COVID-19に関連して免疫パラメータを強化し、調節する可能性も持っている。