メモリービフィズスシリーズの第一弾として発売されるのは、ドリンクタイプのヨーグルトとサプリメント。
いずれも臨床試験済みのプロバイオティクス菌株であるビフィドバクテリウム・ブレーベA1(B. breve MCC1274)を配合している。
試験では、軽度の認知機能障害を有する高齢者(50~79歳)を対象に、MCC1274(2×1010CFU)を投与した。
16週間後、プラセボ群と比較して、即時記憶と遅延記憶に有意な改善が見られた。
軽度認知障害は、日常生活に支障をきたさない程度の認知機能の低下を特徴とするが、通常、アルツハイマー型認知症や認知症の発症リスクを高めるとされている。
MCC1274は、短期および長期の記憶に重要な役割を果たす海馬に影響を与えることが示唆されている。
この成果は、研究分野において非常に重要なものであり、今年の「浦上賞」を受賞した。この賞は伝統的に大学や研究機関に贈られてきたもので、森永乳業はこの賞の歴史の中で唯一の民間企業としての受賞であった。
森永乳業広報マネージャーのMitsunori Watanabe氏によると、記憶機能の向上を謳ったプロバイオティクスはMCC1274が日本で初めてとのこと。他の製品では、一般的にDHA/EPA、GABA、イチョウ葉エキスなどの成分が使われている。
日本市場
日本で発売する新製品のコアターゲット層は、記憶力の低下が気になる60代から70代。
次のターゲットは、脳腸相関に関心のある50〜70歳代。
これらの商品は機能性表示食品で、パッケージに健康強調表示を記して販売することができる。
「本品に含まれるビフィズス菌MCC1274(B. breve) は、健常な中高年の方の加齢に伴い低下する認知機能の一部である記憶力、空間認識力を維持する働きが報告されています。※記憶力とは、見たり聞いたりした内容を記憶し、思い出す力のことです。」
ヨーグルトにはMCC1274が200億個含まれており、サプリメントには2カプセルごとに200億個が含まれている。
本年10月からの発売となり、ヨーグルトは全国のスーパーやコンビニエンスストアで、サプリメントはEコマースで販売される。
Eコマースにおける健康食品の売上のうち、サプリメントが占める割合が高いことから、オンラインで販売することにしたとWatanabe氏。
工場
同社は、茨城県の利根工場において、機能性ヨーグルトの生産ラインを増設することを発表した。
同工場では現在、メモリービフィズス記憶対策シリーズの新製品であるトリプルヨーグルトや便通改善を目的としたビヒダス ヨーグルト などを製造している。
ビフィズス菌ヨーグルトには、数々の賞を受賞したプロバイオティクス菌株BB536が含まれている。
今後、2022年5月までに工場を拡張し、生産能力を2倍にする予定で、投資額は約25億円を見込んでいる。
森永乳業の機能性ヨーグルト製品は、近年、好調に推移しており2021年度は、トリプルヨーグルトシリーズが前年度比約150%、「ビヒダス ヨーグルトシリーズが同約300%の伸びを示している。